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雑記帳
庭のカエル達も大きく育った九月半ばのある日、私は再び実験を行うことにした。
実験の内容は「蛙飛び込む…」とほぼ同じ。ただし今回はバケツのみ使用である。大きく育った分カエルの動きは多少鈍くなるのではないかと予想していたが、彼らの素早いこと素早いこと。思うようにバケツに飛び込んでくれない。
そして、ある蛙を飛び込ませようと追いかけているとき、事件は起こった。
彼は、我が家の敷地から飛び出し、用水路のブロックのふたの穴へ…。
「あ」
ピチャッという音が聞こえた。
実験のデータは採取できたが、さすがにカエルが気の毒なのですぐに実験は中止となった。
その後、彼の消息は知れない。
(※彼は夜になると決まって餌を食べに来るカエルだったので残念である。きっとどこかで生きていると思うが)
夏休みも終わった。これから前期試験があり、テスト休みがあり、そしていよいよ卒論の中間発表がやってくる。発表の日は10月17日。血ヘドを吐くような忙しい日々が始まってしまったようである。テスト休みなど、今年は無いに等しい。
だが、実際のところ皆それほど休み中に卒論が進んだようでもなく、少し安心している。私も実はほとんど進んでいない。今ようやくみんなが慌てだしたところである。これから、日々皆の顔が青ざめていく様子が、正確に予想できる。
これ以上考えると怖いので、この辺で止めておこう。
次は、修羅場編になるかな…。
我々の卒論ゼミでは、夏休みを利用して旅行に行くことになった。
私は体力を考えて一部しか参加していないが、国会図書館、神田古本街、天理大学図書館など、国文らしい内容である。これらを回って、卒論に必要な資料を集めようと言うツアーなのである。
私は天理大学図書館だけ行ってみた。昭和5年に立てられたという建物は古く迫力があり、京極堂シリーズに出てきてもおかしくないような雰囲気である。
ここの図書館は閉架式なので、まず目録で本をチェックして、カウンターに申請して本を出してもらう。私はパソコンで検索した。
この検索システムはHP上で公開されていて、当然ネット上での作業となった。だから、このままネットサーフィンもできるわけだが…。
念のためブラウザの履歴をチェックしたが、誰もこんな不届きなことを考えなかったようで、天理大学図書館HPしか出てこなかった。みんな、真面目だ。やはり、カウンターの真ん前でアダルトサイトなどにつなぐ強者はいなかったか…。
こんな事ばかりしていたので、結局たいしたカエル収穫もなく、天理大学図書館を後にしたのであった。
7月。夏休みももう目前であるこの時期、我々は卒論の大まかな目次を考えることになった。というのも、テストあけの10月に中間発表なるものがあり、それまでには多少形になっていないとやばいからである。
ちなみに私の卒論は、先生との話し合いの結果、”蛙の出てくる和歌・俳句”にしぼってやるという方向になっていた。方向が決まっている分、私の中には多少余裕があり、ぎりぎりまで放っておいたのがいけなかった。
夏休み直前、急に肺炎にかかり、即入院。
目次も未完成のまま、無駄に過ぎていく毎日。ああ…。
入院中、ゼミの方々がお見舞いにきてくれたが、みんなすでに目次が完成しており(その割には何故か顔色が悪かったが(笑))、非常にむなしい気分になったものだった。
結局、無事目次が完成したのは、8月も間近に迫る日のことであった…。
それは、ある卒論ゼミの日のことだった。
松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」について話しているとき、「じゃあ、実際に池に蛙が飛び込むときは、どんな音がするんだ?」という話題になった。というのも、この句について書かれた本などを読むと、「シュッと言う音がする」「音はしない」等、かなり様々な意見が述べられていたからである。
そこで、私の実験が始まった。
1.蛙を捕まえる(家の隣の空き地)
2.準備しておいた、水を15cmほど張ったバケツに飛び込ませる
3.音を聞く
「こんな事が果たして国文学の論文に役立つのか…?」一抹の疑問を胸に抱きつつ、実験は黙々と進められていった。
確かに、あまり大きな音はでない。念のため、バケツではなく用水路にも飛び込ませてみたが、「ぴちょ」といった感じの控えめな音がしただけであった。やはり蛙だけに、水の抵抗の少ない体つきをしていて音がでないのだろうか。
だが、実験の犠牲(?)になった10匹以上の蛙は、全て大人になったばかりの子ガエルである。これじゃあ、音は出ないかもしれない。もっと大きな蛙でデータを取ってみる必要もある。
最後に一言。実験自体は大変楽しめた。だが、しばらくの間毎日やっていたので、ご近所の方々はさぞや不振な目で見ていたに違いない。
週に一回の卒論ゼミ。同じゼミのメンバーは私を入れて10人で、1時間に約5人ずつその1週間の成果を発表する。
他のメンバーが「雨月物語」や「江戸の俳諧」について発表する中で私が発表する事といったら「蛙の分類」だの「蛙の生態」だの…。どうも私だけ生物学の卒論をやっている気がして仕方がない。
早く国文学の卒論にしたいものである。
現在は、ひたすら蛙に関する文献を収集し、読みあさっているところである。
誤算だったのは、予想以上に蛙のでてくる作品が多かったことである。
先日、試しに『国書総目録』(日本の古典の総目録)でタイトルに「蛙」が入っている作品がどのくらいあるかチェックしてみたが、あまりの多さにクラクラしてしまった。しかも、活字になってない作品の多いこと多いこと。
資料が多いのはうれしいが、素直に喜べない。
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